散歩中、犬がほかの犬に吠えて飛びかかろうとするのはなぜ?
散歩中にほかの犬が見えた瞬間、愛犬が吠えて突進し、手がつけられなくなる。そんな悩みを抱えているのは、あなただけではありません。そして、愛犬が「悪い子」なわけでも、「上に立とうとしている」わけでもありません。これはリード上での過剰反応(リーシュリアクティブ)と呼ばれ、飼い主が助けを求める理由のなかでも特に多いものです。
うれしいことに、これは十分に改善できます。大切なのは、なぜ起きるのかを理解すること。原因がわかれば、対処法は自然と見えてきます。
リード上での過剰反応とは
過剰反応とは、目にしたものに対する行き過ぎた感情の反応です。対象はたいていほかの犬ですが、人や自転車、車のこともあります。吠える、突進するといった行動は、目に見える部分にすぎません。その下で、犬は大きな感情を抱えていて、ほかにうまく対処する方法を知らないのです。
過剰反応する犬の多くは、ノーリードのときやドッグデイケア、顔なじみの犬とならまったく問題なく過ごせます。これは、リードそのものが問題の一部になっている大きな手がかりです。
なぜ起きるのか
過剰反応する犬の多くは、次のどれか(または組み合わせ)に当てはまります。
| 何が起きているか | よく見られる様子 | 犬の「言い分」 |
|---|---|---|
| 恐怖 | 吠えたあと後ずさりする。しっぽが下がり、耳は後ろ。飼い主の後ろに隠れることも | 「来ないで、逃げられない!」 |
| フラストレーション | クンクン鳴き、相手の犬に向かって強く引っ張る。しっぽは上がり、会えば問題ない | 「あいさつしたいのに、できない!」 |
| 過去のいやな経験 | 特定の大きさ、毛色、犬種にだけ反応する | 「前にひどい目にあった」 |
| ストレスの積み重ね | 平気な日もあれば、爆発する日もある | 「今日はもういっぱいいっぱい」 |
リードが反応を強めてしまう理由
リードにつながれていると、犬は距離を自分で選べません。ノーリードなら、不安な犬はカーブを描いてよける、地面のにおいをかぐ、目をそらすといった行動で自然に対処します。リードがピンと張っていると、そうした選択肢がなくなり、犬は確実に効く方法に頼ります。大きな声と体で、相手を追い払うのです。
そして犬から見れば、これは実際にうまくいきます。相手の犬は通り過ぎて、いなくなるからです。繰り返すたびに、「吠えれば解決する」と学んでしまいます。
ほかにも、このサイクルを静かに強めているものが2つあります。
- リードの緊張。 犬が近づいてくると、私たちは体をこわばらせ、リードを短く持ちます。愛犬はその緊張を感じ取り、「ほかの犬=トラブル」と覚えます。
- 正面からのすれ違い。 歩道では、犬同士がまっすぐ向かい合い、目を合わせたまま近づくことになります。これは犬の世界では失礼で、威嚇的なふるまいです。
やってはいけないこと
すぐに吠えをやめさせたくなるのは自然なことですが、よくある対応のなかには過剰反応を悪化させるものもあります。
- 叱る、リードを強く引く、罰を与えるのはやめましょう。 犬は、ほかの犬が現れると、こわいものと飼い主からの痛みや怒りの両方がやってくると学びます。吠えは止まっても恐怖は大きくなり、警告を罰された犬は、前ぶれなく咬むようになることがあります。
- 「慣れさせるため」にあいさつを無理強いしない。 おびえている犬を一気にこわいものにさらしても、ほとんど役に立たず、逆効果になることが多いです。
- 「そのうち落ち着くだろう」と近づき続けない。 すでに反応している犬は、何も学べる状態ではありません。
計画:犬の気持ちを変える
目標は、吠えを押さえ込むことではありません。犬の感情の反応を変えて、ほかの犬を見ると「これからいいことがある」と感じられるようにすることです。この方法は拮抗条件づけ(カウンターコンディショニング)と呼ばれ、力に頼らない現代的な過剰反応トレーニングの土台になっています。
1. 愛犬の「限界ライン」を見つける
過剰反応する犬には、それぞれ限界の距離(閾値)があります。ほかの犬に気づいても、まだおやつを食べられ、においをかぎ、飼い主に反応できる距離です。それより近づくと限界を超えて、反応してしまいます。
10mで大丈夫な犬もいれば、公園の反対側まで離れる必要がある犬もいます。愛犬がほかの犬を見ても、まだ食べ物を受け取れる距離を確認しましょう。トレーニングはすべて、その距離かそれより遠くで行います。
2. 「あれを見て」(Look at That)ゲームをする
- 安全な距離で、愛犬がほかの犬を見た瞬間に、マーカーの言葉(「イエス!」など)を言うか、クリッカーを鳴らします。
- すぐに特別なおやつをあげます。鶏肉やチーズなど、いつものフードよりずっとうれしいものにしましょう。
- 相手の犬が見えなくなったら、おやつは終わりです。
これを毎回繰り返します。数日から数週間で、多くの犬がほかの犬を見ると期待した顔で飼い主のほうを振り向くようになります。この振り向きこそ、目指している反応です。気持ちが変わりはじめているサインです。
3. 距離は少しずつ縮める
今の距離で愛犬がリラックスし、うれしそうに振り向けるようになってから、少しだけ近づきます。吠えたり、食べ物を受け取らなくなったりしたら、進めるのが早すぎたということです。距離をとって、そのまま続けましょう。反応は失敗ではなく、大切な情報です。
4. 逃げ道を用意しておく
家で明るいUターンの合図(「こっちだよ!」)を教え、たっぷりごほうびをあげましょう。散歩中、相手が近すぎると感じたらすぐに使います。道を渡る、駐車中の車の陰に入る、大きく弧を描いてよけるのも、とてもいい方法です。
トレーニング中は散歩を楽にする
トレーニングがいちばん効果を発揮するのは、犬が毎日反応を「練習」していないときです。取り組んでいるあいだは、次のことを心がけましょう。
- 静かな時間帯や場所を選ぶ。 早朝や夜、人通りの少ない道、広い河川敷など。
- 体に合うハーネスを使う。 突進しても首に負担がかかりません。(ハーネスと首輪の比較もご覧ください。)
- リードはゆるめたまま。 犬を見つけたら、ふっと息を吐きましょう。飼い主が落ち着いていると、犬も落ち着きやすくなります。
- のんびり過ごす「デコンプレッション」の日をつくる。 においかぎの散歩、フードを床にまいて探させる遊び、休息は全体のストレスを下げ、反応を起こしにくくします。
- 調子の悪い日は散歩を休む。 反応だらけの散歩より、家で遊ぶ1日のほうがずっといいです。
専門家の助けが必要なとき: 愛犬が咬んだことがある、興奮したときに飼い主や周りの人に向かってくる、反応が強すぎてトレーニングできる距離が見つからない、といった場合は、力に頼らない方法をとる犬の行動の専門家(行動カウンセラーやトレーナー)や獣医行動診療科の獣医師に相談してください。それまで落ち着いていた犬が急に反応するようになったときは、痛みが関係していることもあるので、まず動物病院で診てもらうのがおすすめです。
どのくらいかかる?
限界の距離を守って根気よく練習すれば、多くの飼い主が4〜8週間ではっきりした変化を感じます。ただし、犬によって大きく異なります。進歩は、たいてい次のような形で現れます。
- 反応が短く、静かになる
- 反応したあと、早く落ち着けるようになる
- 前より近い距離でほかの犬に気づいても、爆発しなくなる
- 自分から飼い主の様子をうかがうようになる
狭い道でほかの犬とすれ違えるようになる犬もいれば、ずっと少し広めの距離が必要な犬もいます。それでいいのです。ゴールは、犬が安心していられること。出会うすべての犬を好きになる必要はありません。
短く穏やかな練習の積み重ねが、大きな変化につながります。Ruffyなら、マーカーの言葉、アイコンタクト、Uターン、リードをゆるめて歩く練習といった基礎を、1日数分で練習できます。次に角を曲がってほかの犬が現れたときに、すぐ使える道具を準備しておきましょう。