子犬の社会化:ワクチンが終わる前にできることと、その進め方
子犬を迎えたなら、「社会化」という言葉をもう何度も聞いているはずです。獣医さんから、ブリーダーさんから、ほかの飼い主さんから。
これは、子犬との最初の数か月でやることの中でも、本当に大事なもののひとつです。そして同時に、いちばん誤解されているものでもあります。
**社会化は、ほかの犬とたくさん遊ばせることではありません。**世界を落ち着いて紹介していくことで、自信があってリラックスした成犬に育ってもらうための取り組みです。
社会化とは、そもそも何か
よい社会化とは、さまざまな人、動物、音、足場、状況に子犬を出会わせることです。ただし、安心できて前向きな形で。押しつぶされるような形ではいけません。
目的は「いろいろなものに会わせること」自体ではありません。子犬が何度もくり返し、「新しいことって、たいしたことないんだな」と学んでいくことです。
よくある誤解が、「どの子犬にも、どの人にも近づいてもらって、なでてもらうこと」だという理解です。実際には、いやな経験がいくつかあるだけ(元気すぎる犬に追いつめられた、大きな声の子どもにつかまれた)で、いい経験を10回重ねても取り返せないほどのダメージになることがあります。回数より、質と、その子が心地よくいられるかどうかのほうがずっと大切です。
最初の数か月が、なぜそんなに大事なのか
子犬には社会化の臨界期があります。おおよそ生後3週から14週までの時期で、脳が「新しいものは安全だ」と学ぶことに、とくに開かれています。
この時期に出会ったもの、出会わなかったものが、その後の一生の反応をかたちづくります。
| 週齢 | 起きていること | 優先したいこと |
|---|---|---|
| 3〜7週 | 多くはまだブリーダーのもと。早い時期の抱っこや、やさしい刺激が大事 | 早期の神経刺激とていねいなハンドリングをしてくれる繁殖者を選ぶ |
| 7〜12週 | 社会化のいちばんの時期。よい印象も悪い印象も、すぐ結びつく | 人、音、足場、体に触れられることに、落ち着いて出会わせる。家の中でも、安全なお出かけでも |
| 12〜14週 | 窓はまだ開いているが、少しずつ狭まる。新しいものに慎重になる子も | 前向きな経験を続ける。ワクチンが終わっていないからと止めないこと |
| 14週以降 | 窓はほぼ閉じる。新しいものへの恐怖が「定着」しやすくなる | 維持の時期。新しいものには出会わせ続けるが、土台はほぼ決まっている |
生後14週ごろには、この「とくに開かれた時期」はほとんど終わっています。ワクチンプログラムが終わるまで——多くの場合、生後16週前後まで——待ってから社会化を始めるということは、その窓のほとんどを逃すということなのです。
でもワクチンは? 安全と社会化のバランス
新しく子犬を迎えた飼い主さんが必ずぶつかる悩みで、これはもっともな心配です。パルボウイルスなどの病気は本物のリスクですが、社会化不足も本物のリスクです。
うれしいことに、どちらかを選ぶ必要はありません。
獣医行動学の専門家の多くは、ワクチンプログラムが終わる前でも社会化を始められるし、始めるべきだと考えています。ただし、リスクを管理しながら、です。
- まず家の中から。 落ち着いた、ワクチン済みで健康な成犬や、いろいろなタイプの人に来てもらいましょう。自宅と庭はリスクが低く、社会化の場としてどこまでも役立ちます。
- リスクの低いお出かけを選ぶ。 抱っこしたまま人通りの多い場所を歩く、屋外のカフェのテーブルで一緒に座る、車を停めて外の様子を眺める。知らない犬が歩いた地面に足をつけずに、世界を見て、聞いて、においをかげます。
- パピークラスは早めに。 1回目のワクチンが済んだ子犬向けのパピークラスを開いているトレーナーは多く、清掃された管理下の室内で行われます。きちんと運営されているクラスなら、リスクはとても低く、価値はとても高いです。
- 知らない犬と、犬が多く集まる場所は避ける。 ドッグランや、ワクチン状況のわからない犬がいる場所は、獣医さんの許可が出るまで見送りましょう。
- かかりつけの獣医さんに具体的に聞く。 地域によって病気のリスクは違います。お住まいの地域と、その子のワクチンの進み具合に合わせて、何が安全かを教えてもらえます。
社会化のチェックリスト
「犬」だけでなく、カテゴリーごとに進めていきましょう。バランスよく育った子犬は、いろいろなものを少しずつ経験しています。
- 人 — 男性、女性、子ども、帽子やサングラスの人、制服の人、ひげのある人、車いすや歩行器を使う人、宅配の人。
- ほかの動物 — 落ち着いた健康なワクチン済みの成犬、(安全に用意できるなら)猫、(機会があれば)安全な距離からの家畜。
- 音 — 掃除機、インターホン、車の音、雷の録音、ほかの犬の吠え声、子どもの声、小さな音量で流す花火の録音。
- 足場 — 草、砂利、砂、タイル、金属のグレーチング、ぐらぐらする不安定な面、階段。
- 体に触れられること — 足先、耳、口、しっぽをやさしく触る。爪切り。抱き上げられる。動物病院の診察のようにそっと押さえられる。
- 物や道具 — 開く傘、車いす、ベビーカー、自転車、スケートボード、掃除機、車と車での移動。
- 場所 — 家の中のいろいろな部屋、友人の家、駐車場、静かな公園、ペット同伴OKのお店。
最初の1週間ですべてに丸をつける必要はありません。ゆっくり広げて、ペースは子犬に決めさせましょう。
正しい進め方
- 1回は短く、前向きに。 落ち着いてうまくいく5〜10分は、1時間の疲れきったお出かけに勝ります。いい気分のまま終わりましょう。
- 近づくかどうかは子犬に選ばせる。 こわがっているものに無理やり近づけたり、抱えて連れて行ったりしないこと。自分のペースで確かめさせて、好奇心をほめてあげてください。
- 新しいものは、いいことと一緒に。 目新しいことが起きているあいだにおやつ、好きなおもちゃ、静かなほめ言葉。それだけで、自動的に良い印象がつくられます。
- 行動だけでなく、体のサインを見る。 固まる、しっぽを巻く、隠れようとする。うなったり吠えたりしていなくても、それは「もう限界です」というメッセージです。
- 難しさは少しずつ上げる。 静かな部屋で落ち着いた人ひとりに会うのが先で、にぎやかな商店街はそのあとです。
「慣れてきた」ではなく「いっぱいいっぱい」のサイン 鼻をなめる、眠くもないのにあくびをする、しっぽを巻く、白目が見える(ホエールアイ)、飼い主の後ろに隠れようとする、その場で固まる。これらはすべてストレスのサインです。見つけたら、落ち着いて距離をとるか、その日は終わりにしてください。押し切ってはいけません。こわいものをたくさん浴びせても、自信はまず育ちません。たいていは「世界はやっぱりこわい」と教えることになります。
やってはいけないこと
- 無理に接触させない。 ためらっている子犬を「慣れさせるため」に、知らない人がつかんだり、抱きしめたり、上からのぞきこんだりするのは逆効果になりがちです。
- 大きな犬や勢いの強い犬に、圧倒させない。 荒っぽい犬とのこわい出会いが1回あるだけで、数週間分の積み重ねが消えてしまうことがあります。
- ワクチンを理由に社会化を先延ばししない。 上に書いたとおり、安全な中間地点があります。16週まで待って、窓をまるごと逃してしまわないように。
- 自信がついたからといってやめない。 社会化はペースを落としますが、完全には終わりません。思春期のあいだも、新しいものに出会わせ続けましょう。
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